鮎釣り師ガバチャのひとり言

釣りあげた鮎で仲間と酒を飲む   これ人生のユートピア!

    2009年11月

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     息子が小学三年生ぐらいの頃の話だ。
     夕食の団らんで。

    「ねえ、お母さんどうしてお父さんと結婚したの?」
     とカレーを食べながら息子。

     ボクは家内との馴れ初めを訊かれたと思い、このガキもうませてきやがったのかぁと口元を緩めた。
     家内も気恥ずかしそうに気の利いた返事を探しているようだ。

     だが、次の息子の言葉にボクらは絶句した。
    「趣味わるいで」
     えっ。
    「お父さんと結婚するなんて、お母さんメッチャ趣味悪いで」
     なっ! ボクはカレーのスプーンをカチャリと置いたガーン

     家内は食べていたものを吹き出しそうになって慌てて口に手を当てた。

     相手は子供だ。おさえておさえてと心の温厚派がボクをなだめる。
     一方で、こ、このぉてめえに言う権利はねぇ!むかっ と心の激高派が捨て台詞を言って消えていった。

     息子は何食わぬ顔でカレーをカチャカチャ食べている。
     家内は口元を押さえて体をしゃくって笑い続ける。

     ボクは憮然としてたくわんを口に放り込み、ポリポリといつまでもかじり続けた(-_-メ




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     神戸で友人のH君と飲んだ帰りに易者が目にとまった。紺の作務衣に白いあご髭の易者は小机に背筋を伸ばして座っていた。
     H君が、付き合ってる彼女との将来を占ってもらおうと近寄る。

     一万円と言う高い占い料を聞いて躊躇するH君。五千円に負けろと声を上げる。
     首を横に振って易者一歩も譲らず。もう財布に五千円しかないんやとしつこくH君。

     じゃあ、と易者はH君の手を取って半分だけ占ってあげましょうと妥協案を提示した。
     う~んと言いながらH君、渋々易者に握られた手を開いた。

     本人の性格や彼女との相性などをぼちぼちと語り始める易者。
     うんうん、おぉーと時折目をむくH君パー目
     いよいよ話がクライマックスにさしかかろうとしたとき、易者がH君の手をぱっと離した。

    「はい、ここまで」
     とそっけなく易者。
    「ちょ、ちょっと結婚はどうなるんや?!」
     と、せき立てるH君。

    「五千円はここまでぇ」
     と横を向く易者。
    「え~、そんなぁ。ここからが大事なところやんか」
     と口をゆがめてH君。

     斜めを向いたままだんまりを決め込む易者。
     どうしても最後まで聞きたくなったH君。ボクに移すまなざしが五千円を貸してくれと言っている。
     借りた金で自分の将来を占うというのもどうかと思ったが、H君の気持ちを斟酌して五千円を貸してあげた。

     結婚は2年以内にできるし、子宝にも恵まれる。と滑舌よくハッキリ答える易者アップ

     喜ぶH君はありがとうありがとうと何度も易者の手を握り返したラブラブ!クラッカー
     そんなに喜ばれても、みたいな顔で一応愛想笑いで応える易者もまんざらでもなさそうだった。

     翌日、五千円を返しに来たH君。
     ボクは洒落っ気のつもりで「占いが当たったら五千円はおまえにやる。外れたら返せ」とやった。

     果たしてその結果は。

     めでたくも無事、ボクのもとに五千円は返ってこなかった。
     H君はその彼女と結婚し、三児のパパとなって現在香川県高松市で幸せに暮らしている。




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     ある春の日。
     気持ちの良い天気なのでサッシを全開にしたら、庭のモクレンに黒いものがついている。 
     なんだろうと目を凝らせたら蝶だった。
     大きくて真っ黒な蝶。 
     さっそくデジカメを持ってきてシャッターを近づけた。驚かせないように慎重にやったが、気づかれて羽をバタバタし始めた。が、それだけで飛ぶことはない。
     孵化したばかりなのだろうか。蝶はぎこちなく羽を閉じたり広げたりするだけだ。紋白蝶のように花の周りをひらひら飛ぶのはかわいいが、この大きな蝶は綺麗というよりかはむしろ妖しく不気味に思えた。
     ボクは、この手の蝶が苦手だ。

     と、そこまで文章を打ったとき外から家内が帰ってきた。
     仕上がったクリーニングを束ねて下げている。

    「あんたのカッターシャツ、ひとつだめになったで」
     とさりげなく家内。
    「なっなんで」
     ボクは憮然と見返した。

     家内が含み笑いのままそのカッターシャツをしなりと置く。
     その含み笑いは、家内が圧倒的な優位性を得たときに見せる仕草だと気づいたとき、矢のような言葉が飛んできた。

    「口紅が、肩のところについててとれないんやて」
     
    「ぬわっ・・・・・・」叫び
     ボクは生唾をごくりと飲んでマウスから手を離した。
     どうしようもない事態だ。

    「ど、どこで。あっ、そっかこの前スナックで無理矢理ダンス踊らされた時・・・の・・かなゃ」
     と舌がもつれるボクドクロ

    「それってどんなダンスよっ」
     空気が裂けるような一言炸裂。
     小さいけど鋭い、ビックバン直前のような閃光が家内の瞳に走る。

    「い、いや、ほらぁ、こんな・・・・・・こんな感じの、ほ、ほら、こんな」
     ボクはすくっと立ち上がると、左手を伸ばしつま先でワンツぅ~ワンツぅ~とステップをとって後ろ向きにリビングから消えていった。

     カッターシャツにとまったのは夜の蝶にちがいない。
     ボクは、この手の蝶が苦手だ。
     ・・・・・・嫌いではないが苦手だ。





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     奈良の大仏様。
     直ぐそばの柱の穴を通り抜けると幸せになれるという。
     この穴を通り抜けようとしたおばさんが途中で引っかかって皆に引っ張り出されたという話を聞いたことがある。

     ところ変わって香川県の高松市。
     ボクが友人のS君の実家に遊びに行った時の話だ。

     特に見るところもないが近くに神社があると言うので行ってみた。そこに石でできた大仏様の柱と似たようなものがあった。
     やな予感ガーン

    「久しぶりに抜けてみるか」とS君ニタリ。
     ボクはS君の太鼓腹を見てとがめたが、S君ためらうことなく腹這いになって四角い穴に頭から突入。

     芋虫のようにモゾモゾはいずる。うなりながらなんとかお腹の所まで突入した時、ぴたりと動きが止まった
     ヒィ~とS君。息はできるかと訊くとウンとだけ答える。うつむいたまま顔も回せない。

     ボクはS君のジャンパーを脱がそうとした。が、知恵の輪みたいになってよけい変になる。足の方から引っ張るもビクともしない。反対に回ってバンザイ状態の両手をちぎれるぐらい引っ張ると、うわぁっと言ってチョット動いた。が、今度はベルトの所に引っかかって止まった。

     なんかの拷問のようにS君の顔がゆがむ
     慌ててボクはS君のベルトを緩めズボンを脱がせた。ボクはS君の両手を渾身の力で引っ張った。

    「う~ん、しあわせにぃ、しあわせにぃ~いーっ」
     と言いながらボクもS君も半泣きだ。
     無理矢理、何とかかんとか抜けた。

     息を切ってへちゃりこむボク。下半身泥だらけのパンツ一丁でうなだれるS君しょぼん
     一種の荒行を終えたような脱力感の中、人生そう易々と幸せはゲットできないと力尽きたS君を慰めた。





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     鮎釣り師らしく「ええ、天竜川で巨鮎と格闘して折っちまいましてね」
     などと豪快にうそぶく事もできぬ冬、あばら骨を痛めたことがある。

     神戸出張でしこたま飲んだ翌朝のホテル浴室でのこと。
     二日酔いでぼーっとシャワーを浴びていたら、湯がちょっとぬるかったので蛇口をチョイとひねった。

     と、いきなりシャワーが熱湯に!メラメラ
     ゥワヂャ~と目をむいて体をびちらせ湯船から脱出しようとしたら、ジャンプ力が足らずつま先が湯船の縁に引っかかり、そこを支点に洋式便器に胸から激突した。

     息が止まったドクロ
     丸裸で悶絶。
     死ぬ時も生まれたままの姿だなんて、自分らしい最期だけどちょっと恥ずかしいぜと走馬燈のように40年の人生が脳裏を駆けた。
     生んでくれてお母さんありがとう、と心の中で言ったら息がつながった。

     チュルルルとけたたましい電話のベル。
     床に爪を立てて丸裸ではいずって受話器を取る。

     「お客様、火災報知器が点灯してますが大丈夫ですか」とフロント。
     「べ・ぇ~、ちょっど、じゃわーのゆげが、べやに・・・・・・」
     満身で声を絞りなんとかやり過ごした。が、たぶんゾンビみたいに白目だけになっていたと思う。

     丸裸で布団に潜りチェックアウトぎりぎりまであばら骨をさすって耐えた。
     帰り、フロントで「お客さま大丈夫でしたか」と再び聞かれたが「べ・ぇ~」としか答えられなかった。

     医者に直行。
     あばら骨にひびが入っていた。
     治るまで笑う度にあばらを押さえてヒーヒー悲鳴を上げた。
     
     人生には坂が三つあるという。
     上り坂、下り坂、そして三つ目のさかがまさかだと。
     こんなうまいことを言ったのが誰だったかは覚えていないが、オフに下手をうつと鮎釣り師は何の言い訳もきかないという教訓を、まさかシャワーから教えられるとは夢にも思わなかった



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