徳島で働いていた時の昼休み。

 お疲れか先輩のTさんが机に座ったまま寝ていた。広げた新聞紙に顔をつけてべっちゃりとよだれまで垂らしている。

 1時になり打ち合わせなので起こした。慌てて会議室に向かうTさんの顔の半分がなにやら黒い。近づいたら新聞の活字だ。

 ほっぺたからこめかみにかけて写っている。ただでさえ厳つい風貌のTさん。刺青のように阪神連勝の文字が裏返っている目
 顔を見ながら、スポニチですかとTさんに言ったら気がついてトイレに走った。

 数日後、ボクはスナックで飲みすぎて朝寝坊し、起きるとそのまま職場に直行した。
 朝一番の打ち合わせ。何とか間に合い、荒い息を殺して平静を装った。

 もめる懸案事項。ギスギスした雰囲気が続く。
 ボクは少しでも場を和めようとユーモアを交えて発言した。

 と、それが意外にも受けて、今まで顔を上げていない者までボクの顔を見て大笑いだ。 はは、やったぁと内心ガッツポーズ。

 だが、後から思えばその時皆が笑いすぎだとは思った。なんで指までさすんだよと。
 会議が終わると直ぐにTさんが寄ってきた。
 場を和ませたことをほめられるのかなと思ったら意外なことを言う。

「おまえ昨日飲みにいってたやろ」とTさん。
「あ、はぁ」とボク。

「おまえダンス踊ったやろ」
「え、はぁまぁ」
 なんだよいきなりとTさんを見たら、ぶーっと吹き出す。

「お、おまえチークダンスしたやろ~」
 と言ってTさんは腹を抱えて座り込んだ。

「な、何で知ってるんですか!」
 ボクは憮然とTさんに返した。

「ト、トイレいってみいっ」
 Tさん息も絶え絶えだ。

 トイレに行って鏡を見たら、ボクのほっぺたに鮮やかなキスマークがついていた( ̄□ ̄;)




記事を読んで良かったと思った方は
ポチッと押してくださいにゃ~ダウン
    


たまには ブログランキング おもしろい話 も見てちょんまげ目


  超燃える鮎友釣り もヨロシクグッド!