数年前のこと、親交のあった船長がガンで亡くなった。
 船長から生前に手渡されていたものがあった。

 小説のネタを書いた便せんである。
 船長から、自らの船舶経験を小説に書いて欲しいと頼まれていた。

 突然逝ってしまった船長に約束を果たせなかった後悔から、急いで書き上げた。
 葬式の三日後、船長の奥さんにだけ原稿を手渡した。

 船長からは「書くときには妻の星子を主人公にしてください」と言われていた。
 星子さんにそのことを告げると「読ませていただきます」と目を潤ませた。

 星子と書いてそのままホシコと読む。
 最近になってせっかく書いたので、と日本文学館のコンテストに応募してみた。

 そしたら先週「審査員特別賞」に選ばれたと通知があった。
 嬉しい。少しでも報われたような気がして嬉しい。

「船長、やりましたよ」
 ボクは心の中で小さく言ってガッツポーズをつくった。


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 船長の十八番。
 スナックで飲んでて船長がこの曲を歌い始める頃には、たいがいボクは酔っててお気に入りの女の子とダンスを踊ってました。
 船長、歌が上手だったんだよな。



 その頃、ガバチャの歌っていた曲。


 一緒にダンスをしたナオミちゃんが歌ってくれた曲。




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