同級生のAから電話があった。
コロナ禍になってから一年半以上お仲間の四人で飲みに行っていない。

二回目のワクチンも終わったしそろそろこそっとやろうではないか、との悪魔の囁きに心が躍る。
他の仲間Bには私から連絡をすることになった。

Bとも久しぶりに会話を交わす。
ところがどうも声の調子が浮かぬようだ。

いろいろ話すうちに実は鬱病にかかって仕事も今週から休むことにしたとのこと。
えっ・・・?

とにかくゆっくり静養するこっちゃな。
何かにがんばる必要なんてなんにもないんだからさ。

と、いつかメンタルヘルスの研修で受けた言葉を思い出しながらかけた。

私たちはともに高知で学び社会に離陸した。
少々揺れたが長い水平飛行を経て、今ほぼエンジンが停止して滑空の時代に入った。

横風は相変わらず強くいつどうなるのかもわからぬままで軟着陸の場所を探している。

私は退職前に故郷高知への帰去来に憧れていた。
それがなぜかまだ大阪で働いている。

年金があと二年も経たぬうちにもらえる。
と、Aはその時に仕事を辞めて高知に帰るかもしれないと言った。

私もそれもありかなと思う。

ただ・・・とAは、俺なんか帰ってもなんもすることないしな。
お前は鮎釣りがあってええよな、と。

故郷の安田川に帰って鮎釣りシーズンは川漁師よろしく竿を繰る。
時々は近畿のアユ釣り仲間も呼んでどんちゃん騒ぎ。

都会にしか住めない家内は卒婚ということで別居生活で良いだろう。
ウシシ・・・

なんか、軟着陸できそうな感じがしてきた。

そして、やがて千の風のひとつになって
有田川や貴志川の空を悠々と舞い駆け巡り
みんなに入れ掛りの風を吹かそう。

その時にこいつが尺に竿をブン曲げられているのを夢見て・・・・・・。


「じいじ、さっきからなにひとりでぶつぶつ言ってんの」

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どかんぴゅシール追加しました(^^ゞ