球磨ガバでは、バーのママさんが「また来てよね」というので翌日も行きました。
ママさんは自分のスマホを見せながら5年前の球磨川水害の話をしてくれます。
この歓楽街も2階まで浸かってね、と驚くような写真を見せられました。

大阪から帰ってきた直後には熊本地震にもあったらしく、
ママさんは阪神大震災と熊本地震に遭遇して球磨川水害にも見舞われたのです。
ただし、その後に続く大阪での彼氏の話を聞いて、その男がママさん自身にとっては一番の大災害であったような気がしました・・。
て、はたと気が付き私はこっそり自分のことを棚の上にあげてウイスキーを一気に飲み干しました( ;∀;)
二日酔いで頭を抱えながら、くま川おとり店に行くと
川辺川と本流球磨川の出会い案内されました。
到着するとたくさんの釣り人で賑わっています。
が、よく見るとみんなコロガシです。
友釣りらしき人はひとり見つけただけ。
10月からコロガシが開いて誰も友釣りはしていない、とか。
もちろん店長は先刻承知のうえで、あの下流はあまりコロガシが入っていないから友釣りには穴場だ、と指をさします。
私はかなり離れた場所だなと思いながらも急いで場所を確保しました。
が、どこから降りてきたのか、すぐに数名のコロガシ隊に囲まれます。
それでも粘って、やっと大きな鮎を掛けてタモキャッチしようとしたら
目の前で落下してくやしいロストです。
それを見ていた地元のヤナ漁師がニコニコと私に近寄ります。
私が和歌山から来た、というとちょっと驚いていろいろとアドバイスをくれました。
いずれにせよ友釣りの時期は9月末で終わっており
ここから一時間ほど下流の坂本という地域の方が尺鮎をとれる可能性が高いこと。
また、途中にホームセンターがあって
11号の2本チラシを売っているのでそれでやった方がよいとのことでした。
郷に入れば郷に従い
私はホームセンターで11号の針を買うと坂本を目指しました。
国道沿いに下った方が距離的には近いが、水害の工事で工事信号だらけなので
遠回りの高速の方が早く着くとのことで、そちらのコースにしました。
つまり、急ガバ回れってことですね( ;∀;)
坂本はこんなところでした。
5人ほどが友釣りをしています。
すぐに一匹25センチメタボが掛かりました。
が、後が続かずで粘っていたらパチンと逆バリの外れる手ごたえがあり対岸にズンズン進まれます。
何とか耐えたら今度は上手に悠々と遡上です。
なんという馬力!
そのまま荒瀬に突入すると反転して私の方に寄ってきました。
しめた、と思い慎重にたも網を構えようとしたら
急にまた方向を変えて深瀬にズンズン潜ります。
そこでピタリと動きが止まりました。
竿にテンションを掛けても全く浮いてきません。
根掛かりです。
絶対にとりに行けない木の下に絡まったようです。
観念ロスト((+_+))
時計を見ると13時、このままボウズで終わってしまうかも・・・。
下流から一人釣り人が上がってきました。
先週までは尺鮎も出てたみたいですが
今日は掛かりが悪いですね、と。
気温が急に下がったからかな。
確かに昨日の夏みたいな暑さは影を潜め、濡れた鮎シャツの袖がヒンヤリしています。
もう少しカミに行ったら岩盤の川相で、一発デカいのが来るかもしれませんね、とのアドバイスをいただきました。
疲れているけどこれが今シーズンのラストだ!
とネバーギブアップで自らを鼓舞します。
カミに車を進めると
ちょっと怖そうな川相になってきましたが
ところどころに釣り人は入っています。
鮎のいそうなポイントを見定めると
流されたらこの世とおさらばという瀬肩にゆっくりと立ち込みます。

フロートショートベストは着ていますが、そんなものは着ていないのだという石橋をたたいても渡らない慎重さで竿を伸ばします。
養殖おとりに鼻カンを通すと瀬肩の緩いところに送り込みました。
が、底流れが強くおとり鮎が入りません。
4号のオモリをかましましたがこれでもだめで、もうひとつ3号のオモリを追加でかまします。
さすがにおとりはグーっと沈み、そこでコツコツと音がしたと思ったらカチッと動かなくなりました。
どんなに竿をあおっても動きません。
痛恨の根掛かりロストで万事休すです((+_+))
養殖おとりに鼻カンを通して背バリを打つと、ズームを伸ばして対岸の緩いところに投げ入れやんわりと着水させます。
うまくおとり鮎が泳いでくれるところに入りました。
祈るような気持ちでちょこちょこと竿を繰ります。
刹那、目印がビューンとカミに5メートルも突っ走りました。
やった!
しかし、すくえて取り込めるような場所ではありません。
抜くしかないのですが、昼から出た風がますます強くなっています。
もはやガバチャ抜きしかありません。
して、誰が名付けたかガバチャ抜きとは、両手で鮎竿を持ち上げて掛かり鮎を放り上げ、飛んでくる途中でたも網を抜いて受けるやりかたです。
両手でしっかり竿を握って抜くためコントロールは良くなりますが、受け損なうリスクもあります。
そんなこと考えている暇もなく両手を頭上に突き上げると、ズバッと掛かり鮎が水面を切りました。
が、やはり強風で飛んでくる鮎があらぬ方向にコースを外れます。
私は瞬時に正面キャッチをあきらめて、その飛んでくる鮎を背後に大きくいなし振り飛ばしました。
そして、素早く振り返えると態勢を整えて、戻って飛んでくる鮎に正対し的確にキャッチしました。
名付けてグッバイハローキャッチです。
釣りキチ三子には前に一回見せたことがありました( ;∀;)

九頭竜返しは、上手に鮎を放り飛ばして着水させて流れてきたところを救い上げますが
私の言うグッバイハローキャッチはそれを空中で完結させるやり方です。
こんな大事なシチュエーションでグッバイハローキャッチをするなんて窮鼠猫を噛むもええところやな、とタモ網に収まった25センチメタボを安堵しながら眺めました。
やっぱり対岸の瀬肩に鮎はいたんや。
最後の最後、この確信にかけるしかないな。
と、またその野鮎をおとりにして同じ場所に送り込みました。
今度は泳ぎます。ずんずん上ります。
目印がスイーっと手前に戻ってきました。
よしっ!
巨鮎のサイレントピューや( ゚Д゚)
ちょっと竿を立てると重たい感触でブリブリしています。
これは掛かっているけどなんか変な感じ。
と、瀬肩からはずいぶん上ったトロ場に来ていたので慎重に腰ぐらいまで浸かります。
ずぼん、と急に胸まで浸かり大慌て。
片手で水面をかいて岸に戻り、掛かり鮎を慎重に寄せて何度か逃げられながらも、執念でタモ網を伸ばしてやっとこさ収めました。
デカい!
顔掛かりです。
というか正確には下あごを11号の針が貫いていました。

私は早速ドカンピュー水槽に入れてみました。
ら、31センチはゆうに超えています。
やったぜー、と私は遠方にいる釣り人らの目もはばからず大声で叫びました。

その後は急に魂を引き抜かれたように全身の力が萎え、ヘナヘナとその場に腰を下ろすとどのくらい時間がたったのかもわかりません。
体が寒さで震えて我に返った時には、鮎はすでに硬直して産卵を終えたボロボロの鮭みたいになっていました。
生きてる状態なら31センチは超えていたと思います。
重量はオスなのに315グラムもありました。
五月、14泊15日もの長旅の北海道で熊におびえながらアメマスを小型ながら1匹釣り上げ
今回、大鮎釣り師のあこがれと呼ばれる球磨川で尺鮎を釣り上げ・・・。
2025は、私にとって思い出の年となりました。
大まぐれの奇跡的大団円となった球磨ガバ
くま川おとり鮎店の店長とお手伝いの女性様をはじめ河原で出会って様々なアドバイスをいただいた方々に感謝いたします。
また、一見なのに身の上話に花を咲かせてくれた歓楽街の夜の蝶々さんたちに感謝いたします。
燃えカスになったような気持ちで、しばらくは近所の港でチンタラとアジングでもしてラクな釣りを楽しみたいと思います( ;∀;)
そして、次なる冒険は東北にソロキャンプに行きたいと、密かに計画を練っているところです。
ドイツから帰国して関東に居を構えた孫らと飼い犬のポッポに会いがてら・・。


























